やきとんのフルコース?「埼玉屋」に挑む
先週のことである。
遂に挑む時がきた。目指すは東十条『埼玉屋』。究極のやきとん(とんだけではないようだが)を食わせる店と名高いところである。
いろんな書物やサイトをみて夢に出るほど気になったお店だ。が、引っ込み思案の私は少し腰が引けていた。まず第一に「東十条」が降りたことのない地であること。次に大将がなかなかの曲者であるらしいこと…。 しかし「究極の…」と聞かされて引き下がっている訳にはいかない。意を決して出かけた次第である。
もしかして初めてかもしれない、京浜東北線。初めてみる駅名もある。上中里…んー知らん。そもそも関係者には申し訳ないが「北区」自体耳馴染みがない。日暮里からそう遠くない割にこれほどまでに知らない土地があるとは自分でも驚きだし新鮮だ。
まず少し足を延ばし「赤羽」でぶらり。この街にもいろんな飲み屋があるらしい。ブラブラしながら見つけたのは立ち飲み屋『いこい』。朝7:00から営業とは驚きだ。こういうお店があるだけで「いい街」と思ってしまう。しかも酎ハイなんと180円。つまみも煮物、生モノ、焼き物、揚げ物…勢揃いである。「埼玉屋」への緊張を和らげるためにちょいと立ち寄る。
さぁ、東十条。16:00開店で現在15:30。いい時間だ…が迷い迷って店に到着は開店10分前。詳細は省くが今日1日迷いっぱなし歩きっぱなしだ。店前には7人ほど並んでいる。少し離れた「新潟屋」というお店にも多少の列が見えた。激戦区なのか。
開店を待って店内へ。焼き場を囲むコの字のカウンター席に座る。まずは飲み物から。実はここの名物はやきとんだけではない。シャーベット状に凍らされた焼酎で作るレモンハイと生ホッピーもまた名物なのだ。1手目はレモンハイから。キンキンに冷えているので氷は使わない。飲み口に軽く塩を塗って出来上がり。和製ソルティードッグといったところか。ちなみに和製カーペンティアと言われたのは寺西勇。
閑話休題…。全員に飲み物が行き渡ったところで噂の大将登場。軽く全員を見渡しながら「焼き物はどうする?」と聞いてくる。ここがこのお店の最大の特徴。普通、焼鳥屋などに行くと「レバーとねぎまをタレで。」という注文になるのだが、「埼玉屋」では大将に身を委ねるのが基本。そうすると大将がお薦めのネタをお薦めの焼き方でお薦めの味付けで食べさせてくれるのだ。この日も全員が「お任せします」と答えていた。むろん私も…。
「じゃあレバーから。今日のレバーは甘いよ。みんなレアで大丈夫?塩でいくよ。」と言いつつドンドン炭火の焼き台で焼いていく。半生のレバーが確かに甘い。「次は上シロだ。」噂の上シロ…。ある体験記によると口の中で溶けるとか…。ホントだぁ…口の中でとろっと白子のように溶けていく!カルチャーショック!!濃厚な焼きトンにさっぱりとしたレモンハイがすすむ。
飲み物を生ホッピーに切り替えひたすら焼きトンを食う。「どうだ。うまいだろ。」自信満々に言い放つ大将。「最高っすねぇ…。」そう答えるしかない。問題は1ネタ2本ずつ焼かれていくこと。2人組なら問題ないが私のようにシングル戦を挑むものは2本をひとりで平らげていかなくてはならず、さながらハンデキャップマッチの様相である。悲しいかな、気持ちとは裏腹にかなりおなかは満たされてきてしまった。
「次はハツだ。どうだ。まだいけるか?」相変わらず大将は全員に聞いていく。みんな「どんとこい」といった感じだ…。「どう?ハツ?」私は大将に恐る恐る答えた。「今日ってシャモあります?」そう。私はここのサルサソースで食べるシャモというのをどうしても食べてみたかったのだ。「あるよ。ちっと待ってな。じゃあ、ハツは…。」「すみません。飛ばして下さい」。ひとりだけスルーしてしまった。このあとどうなるか…。
「おい。シャモ、先持ってきて。」そう言って大将は私の為にシャモを焼いてくれた。さっぱりとしながらも噛みしめる度に溢れる肉汁。お腹もなかなかいい感じだし、これで締めようか…。「次はカシラだ。うまいぞぉ。」カシラ!?私の大好物だ。「すみません。僕もカシラもらっていいですか?」戦線復帰。「おお、いいよぉ。ホントはさ、最後にシャモで締めっとさっぱりしていいんだけど。」
「埼玉屋」に対する評価のほとんどはこの大将に対する評価が占めている、といってもいいだろう。味は申し分ない。これはみんな一致するところ。後は大将の「お任せスタイル」が合うかどうか。もちろん個別に注文することもできるようだが私は見ていないのでわからない。ただ、雰囲気的にできなそう、というのが率直な感想。「押しつけがましい」とか「好きなものをゆっくり味わえない」という評価もいくつか見た。それも分かる気がする。が、私の感想は「任せてよかった」であるし、次回も「お任せ」したい。「自信のある肉を最高の状態で食わせる」。大将のスタイルは徹頭徹尾これに尽きる。しかし「押し付け」ている訳ではなく、私のようにひとりで来ているものにはそれなりに融通もきかせてくれた。しかも「自慢のレバーで客を引きつけ、最後はシャモのサルサソース添えでさっぱりと」という流れをイメージしているところは「埼玉屋劇場」と評してもいいくらいだ。
大将のお任せに最後まで付き合えなかったのは痛恨の極みだし、他のメニューも味わいたかった。が、それは次回は妻とタッグを組んでリベンジする、というアングルにつながる。近々リターンマッチといきたい。


こんにちは。
相変わらず巡礼してますね(笑)と言うか勉強熱心、いや、心底好きなんですね。
まだ未訪問のお店でもマスターの細かな描写で臨場感を得られます。
ところでレバー(肝臓)は大丈夫ですか?
私は最近ついにγーGTPが500をオーバーしてしまいました。マスターはまだお若いから大丈夫ですね。
投稿: アイパパ | 2008年4月30日 (水) 08時25分
アイパパ様
こんにちは。いつも長ったらしい文章を読んでくださってありがとうございます。
昔「体の悪い部分があったら、その部位を食べるといい」なんて内容の文を読んだことがあります。『美味しんぼ』だったでしょうか。私はレバーはもちろんモツ好きなので内臓機能はきっと大丈夫、と言い聞かせております。迷信?
ただアルコール摂取年齢が早かったので実年齢より高齢化が進んでいる恐れはあります。ニンテンドーDSでは脳年齢しか判定できないので何とも言えませんが…。
投稿: 店主 | 2008年4月30日 (水) 11時44分